STAFF MTG社員座談会
社員座談会

「将来」の当たり前を「今」やろう。
マーケティング×サステナビリティでプラスチックを約23.5トン削減*​

*ネスレ調べ

ネスレは2025年までにバージンプラスチックの使用量を3分の1削減するプラスチックパッケージの95%以上をリサイクル可能にすることを目指しています。

それを受けてネスレ ヘルスサイエンスの日本チームは、プラスチックストローを紙ストローに全面的に切り替えるプロジェクトを実施しました。当プロジェクトの担当者である池ヶ谷さんに、当時の苦労や挑戦を後押しした想いについて聞きました。​

Profile 出席者プロフィール

池ヶ谷淳貴
池ヶ谷 淳貴
2011年11月中途入社 / マーケティング&メディカルアフェアーズ統括部 
ONS(経口栄養補助)グループ グループマネジャー
入社後、九州第二支店で営業を約2年間担当し、マーケティング統括部にてプロダクトマネージャー 、 2021年1月より経口栄養補助グループ グループマネジャーを務める。
栄養価の高い飲料やゼリーなどの栄養補助食品や関連するサービスの開発やマーケティング活動を通じて、病院や介護施設、そして在宅における高齢者の食生活を支援する取り組みを推進している。

聞き手 :人事・広報統括部 中田 悠介
高齢者向け製品における
サステナビリティ追及の難しさ

――紙ストロープロジェクトの概要について教えてください。

世界188ヶ国で事業を展開する世界最大 の食品飲料企業・ネスレは、サステナビリティの観点から様々なコミットメントを発信しています。 その一環として、環境への影響が懸念される海洋プラスチック問題に着目し、2025年までにバージンプラスチックの使用を2018年と比べて3分の1削減することプラスチックパッケージの95%以上をリサイクル可能に設計することを掲げています。 日本のヘルスサイエンスチームもサステナビリティに貢献するにあたり、最初に取り組むべきと考えたのがプラスチックストローの削減でした。 グローバルで2020年末までにプラスチックストローを全廃する方針が示されていたことも背景にありました。 ただし、当時の日本では当たり前のようにプラスチックストローが使われていましたから、大きなチャレンジになりそうだなと予感していました。

――どのような点をチャレンジングに感じたのですか?

私たちがストローをつけて販売している製品の主な消費者は、何らかの理由で通常の食事から必要な栄養を摂れていない高齢の方々です。 私たちの感覚からすると、100mlの飲料製品であれば3秒ほどで飲みきれると思いますが、高齢の方の中には朝提供された飲料製品を夕方まで時間をかけてゆっくり飲んでいる方もいます。 そのため、長時間にわたってふやけにくい耐久性と、手元が不安定な高齢者の使用に適した扱いやすさを兼ね備えた紙ストローを提供しなければならないという点がチャレンジでしたね。 これらのことを最優先に検討した結果、パッケージから紙ストローが突き出している形になりました。 そうすると今度は流通上の問題が発生しました。従来の梱包の仕方だとケース内にデッドスペースができてしまい、半分は空気を運んでいるような状態になるのです。 それはすなわち、今まで1台のトラックで運べていたものが2台必要になることを意味します。また、流通過程でストローが折れてしまうリスクも想定されました。

チャレンジを支えるカルチャーと仲間がいたから解決できた
チャレンジを支えるカルチャーと仲間がいたから解決できた

――流通上の課題を克服するために、どのような工夫をしたのですか?

生産工場やパッケージングのチーム、協力会社と議論し知恵を絞った結果、製品を横に倒してパズルのように組み合わせて梱包することにより、ケース内に無駄なスペースを作らず、コンパクトに梱包して輸送できる可能性に辿り着きました。 しかし、実際にこのアイデアを実現するのはとても大変なことでした。前代未聞の梱包法ですから「やったことがない」「今の設備では無理」といった“できない”のオンパレードです。 それでも「どうしたら実現することができるか」を真剣に話し合いました。衝撃に耐えられることを実証するための試験を実施したり、必要な設備を導入するためのアイデアを出し合ったりして、一歩ずつ着実にプロジェクトを進めていきました。 最終的に、それらがつなぎ合わさって商業生産まで辿り着くことができました。

――実際に紙ストローを流通させるときに不安はなかったですか?

もちろん不安もありました。 開発段階で既にお客様からはポジティブな意見をいただいていたので自信はありましたが、それでも自信7割・不安3割ぐらいだったと思います。 2021年1月からは実際に新しい紙ストローが世の中に流通し始めましたが、想定外の問題は発生しなかったので安心できました。 それから2023年末までの3年間で、我々は約4,940万本の紙ストローを出荷しました。重量に換算すると約23.5トンにもなり、これだけのプラスチックを削減したということです。​ プロジェクトを立ち上げてから出荷を開始するまでに2年くらいかかりましたが、思い返せばとても有意義な取り組みでした。

――多くの課題に直面し、大変な取り組みだったと思います…。

確かにとても大変ではありましたが… しかし、前例のない大きな課題に社内外の英知をもって立ち向かい、困難を乗り越えて実現していくプロセスは、素晴らしい経験だったと思っていますし、やっぱり楽しかったです。 新しいことにどんどんチャレンジさせてもらえるのは、ネスレの良いところだなと思います。ただし、紙ストローはこれが完成形ではありません。 2023年末に折れにくさを約10%改善、突き刺しやすさを約30%改善した新しい紙ストローに変更しましたが、すべてのお客様にご納得いただけるまで、これからも改善を続けていきたいと考えています。

目指すのは「サステナビリティ」が特別なことではない世界
目指すのは「サステナビリティ」が特別なことではない世界

――池ヶ谷さんにとって、ネスレ ヘルスサイエンスで働くことの魅力とは何ですか?

私は前職で一般消費財の営業担当をしていましたが、リテールのバイヤーとお金の話をする日々で、自分の仕事がどのように消費者の役に立っているのか、なかなかイメージすることができずにいました。 ネスレに転職してからは、エンドユーザー(製品の主な消費者である高齢者やそのご家族と、それを支える医療・介護従事者)との距離が近いため、喜んでもらえたり、感謝してもらえたりして、自分の仕事が社会の役に立っていると実感できています。 それがやりがい・原動力につながっているのだと思います。

――最後に、サステナビリティに取り組む意義をどのようにお考えですか?

今サステナビリティの取り組みが注目されはじめていますが、近い将来、サステナビリティが特別なことではない世界がやってくると思っています。 今の若い人たちは学校の授業でサステナビリティやSDGsについてしっかり学習しており、彼らがこれから社会に出てくるわけですから。サステナビリティとビジネスの両立は難しいところもありますが、我々はそういう時代を先取りして、先行投資しているのだと捉えています。 これからもチャレンジを続けて成長していきたいですし、消費者の方々の幸せに繋がるような新たなイノベーションを次々と打ち出していきたいです。ネスレにはそのための環境が整っていると思いますので。

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